介護サービス問題

高齢者介護問題(1)説明編

高齢者介護問題(1)説明編

高齢者介護制度について

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高齢者とは、65歳から74歳までの「前期高齢者」と75歳以上の「後期高齢者」を含めた総称です。
そのため「高齢者介護問題」と聞くと、高齢者のみが関係する問題のような印象を受けますが、実際には若者を含めた家族全体の問題であり、また、地域全体の問題でもあるのです。
まず、家族の中に介護が必要な高齢者がいる場合もしくは若年性認知症(※1)などを発症した家族がいる場合には、それが同居であろうが、別居であろうが、必ず誰が『介護や介助』(※2)をするのかという重大な問題に直面します。
そしてこの介護や介助の問題の中心をなす問題こそが「75歳以上の後期高齢者への介護サービス問題」なのです。一般的に言って18歳から64歳までの若年性の認知症などの場合には、発症者自身の運動能力に支障が少ない場合が多く、一部の補助などがあれば、自身による自立的な日常生活を送る事は容易であり、その発症者の介助や支援を行う人も比較的に軽い負担で済みます。

しかし、74歳以上の後期高齢者の場合には、年齢による身体的な衰えと、老化による痴呆なども加わり、その介護や介助に大きな負担を伴うことが多く、これを家族の中のみで解決をすることは、経済的にも、実生活的にも大きな困難を伴います。
その為、これらの高齢者の介護を行う家族の大きな負担と困難を緩和するために、国は高齢者などの介護や支援をサポートする「介護保険制度」を設けました。これは国の付託を受けて県や市町村が介護業者等を指名・認可して、これらの業者に住民に対する介護サポートを行わせるという制度です。
しかし、この制度には、認可基準や制度内の要件などに、現実の介護現場にそぐわない点も多く、介護の管理や介護の質、そして介護現場での労働環境などの点で多くの改善が必要となっています。それらの問題をこのページでは指摘して、飯塚市民の多くの方に知っていただき、飯塚市における高齢者介護の改善に役立てることができればと思います。

※1若年性認知症とは、18歳から39歳までの人が発症した「若年期認知症」と40歳から64歳までの人が発症した「初老期認知症」を含めた認知症の総称です。2017年度~2019年度の調査によって若年性認知症有病率は18歳~64歳で人口10万人当たり50.9人、若年性認知症者の総数は3.57万人と推計されています。
※2 介護や介助とは、「介護」は、単独で日常生活を送ることが困難な人に対し、生きていくために必要な生活全般についての「介助」などの支援をして、自立を目指す行為であり、身体的な介助だけではなく、精神的なサポートも含みます。「介助」とは、日常生活をサポートする「行為そのもの」を指し、主なものには「歩行の介助」、「食事の介助」、「入浴の介助」、「排泄の介助」などがあります。

飯塚市の高齢化の現状

下の表にあるように、飯塚市の人口に占める65歳以上の割合は31.1%であり、飯塚市民の約3人に1人が65歳以上の高齢者です。また、75歳以上の割合も15.5%であり、飯塚市民の約6人に1人が75歳以上の後期高齢者となっています。共に全国並びに福岡県の平均よりも高く、飯塚市では高齢化が進んでいることが分かります。

65歳以上 75歳以上
全 国 28.1% 14.2%
福岡県 27.1% 13.4%
飯塚市 31.1% 15.5%

 (尚、全国は平成30年度10月、福岡県と飯塚市は平成31年度4月の調査での数字です)

高齢者介護サービスの介護基準

「65歳以上の高齢者」または「40歳以上で要介護状態が特定疾病(厚労省が定めた16疾病)に基づく方」が『介護保険制度』を利用する際には、以下の基準のどれに当てはまるかの「要介護度」を判断するために『介護認定』を受けることになります。
この介護認定には、大きく分けて自立要支援要介護という三つの枠組みがあります。

自 立 自分で日常生活を送ることができて、介護サービスなどが必要のない状態を言います。自立(非該当)と判断されると、介護保険サービスを利用することはできません。
要支援 日常生活上の基本的動作である「歩行・立ち上がる・しゃがむ・座る・寝る・寝返り・起き上がり」などを自分で行うことが、ほぼできる状態で、「日常生活動作」である洗面・入浴・トイレ、洗濯・清掃、上着や下着の着用や着替え、料理や買い物、通院や薬の内服、電話の利用などについて、多少の支援・介助が必要な状態を言います。
要介護 日常生活全般において、自分で行うことが困難であり、何らかの介護(介助及び見守り)を必要とする状態を言います。

尚、「要支援」及び「要介護」については、その状態の軽重により、サービスを利用できる回数や内容に違いがあります。

要支援と要介護の種類

要支援サービス」と「要介護サービス」には、高齢者の症状の軽重によって利用できるサービスが分れています。

要支援サービス

要支援は、重い介護状態にならないことを目的とする支援サービスです。要支援サービスには、「要支援1」と「要支援2」の2種類があります。

要支援1 洗面・入浴・トイレ、洗濯・清掃、上着や下着の着用・着替え、料理や買い物、通院や薬の内服、電話の利用などの日常生活上の動作については、ほぼ自分で行うことができるが、一部で支援・介助が必要な状態。
要支援2 要支援1の状態よりも、自分でできることが少ない状態であり、支援・介助と共に一部介護が必要な状態。

 

要介護サービス

要介護は介護を受けながら、状態を維持・改善するため、または悪化しないための介護サービスです。要介護サービスには、症状の軽重に合わせて要介護1~5までの5種類があります。

要介護1 立ち上がりや歩行が不安定、食事・着替え・排泄・入浴時等に介助が必要など、日常生活において部分的に介護が必要な状態。(上記の「要支援2」よりも悪化する要素があり、認知症の要素が含まれている場合に認定されます。)
要介護2 立ち上がりや歩行が1人ではできないことが多く、日常生活全般に部分的な介助が必要な状態。
要介護3 立ち上がりや歩行が自分では困難で、日常生活全般に全介助が必要。また認知症の症状があり、日常生活に影響がある状態。
要介護4 立ち上がりや歩行が自力ではほとんどできない。日常生活が、介護がないと行えない状態。コミュニケーションの部分でも、理解力の低下があり、意思疎通がやや難しく、認知症による暴言や暴力、徘徊などの症状に対しての対応がより必要な状態。
要介護5 寝たきりの状態で、日常生活全般ですべて介助が必要な状態で、理解力低下が進み、話かけても応答がない、理解が難しいなどの意思疎通が困難な状態。

 

介護サービスの種類と内容

介護保険適用のサービスとは、要介護・要支援状態にある「65歳以上の高齢者」と「40歳から64歳までの特定疾患の患者」が1割~3割の自己負担で受けられる介護サービスです。ただし、自己負担割合は、収入に応じて1割~3割負担に変動します。
この介護保険適用のサービスには、さまざまな種類がありますが、大きく分けて 居宅サービス施設サービス地域密着型サービスという3つのサービスに分けられます。

居宅サービス(福岡県によるサービス)

要介護・要支援者が現在の居宅に住んだまま提供を受けられる介護サービスです。この介護保険の居宅サービスは、都道府県が介護事業者の指定をします。
居宅サービスは非常に種類が多いためにこれを、 訪問サービス通所サービス短期入所サービスの3つに分類して、各サービスの内容を決めています。

訪問サービス 自宅で暮らす要介護者・要支援者を訪問して、買い物や掃除などの生活支援、食事や排せつなどの介護、健康管理や衛生管理指導などの看護、リハビリ・入浴などを提供するサービスです。
通所サービス 自宅で暮らす要介護者・要支援者に対して送迎等を行い、介護用の施設で日中を過ごしてもらい、食事や排せつなどの介護、健康管理や衛生管理指導などの看護、リハビリ・入浴などを提供するサービスです。
短期入所サービス 要介護者・要支援者を介護用の宿泊施設に一定期間受け入れて、食事や排せつなどの介護、健康管理や衛生管理指導などの看護、リハビリ・入浴などを提供するサービスです。

 

施設サービス(福岡県によるサービス)

特別養護老人ホーム」・「介護老人保健施設」・「介護療養型医療施設」・「介護医療院」に入所した要介護状態にある高齢者に対して提供されるサービスです。

特別養護老人ホーム 要介護3以上の介護認定が必要 主に食事・排泄・入浴などの介護が提供されます。
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
介護医療院
要介護1以上の介護認定が必要 医学管理下における介護やリハビリ、療養上の管理や看護などのサービスも提供されています。

 

地域密着型サービス(飯塚市によるサービス)

地域密着型サービスは、介護が必要になっても住み慣れた地域で生活ができるように、地域ぐるみで支援するしくみです。この地域密着型サービスは、市区町村が介護事業者を指定します。
このサービスの背景には独居高齢者や認知症高齢者の増加などの要因があります。また、原則として、その地域に住民票のある要介護者・要支援者しか利用できません。
地域密着型サービスでは、①「訪問・通所・短期入所によるサービス(訪問・通所型)・②「特定施設や介護保険施設でのサービス(施設・特定施設型)・③「認知症の方へのサービス(認知症対応型)などが提供されています。

①【訪問・通所・短期入所によるサービス(訪問・通所型)
自宅で暮らす要介護者・要支援者を訪問してあるいは施設に受け入れて、買い物や掃除などの生活支援、食事や排せつなどの介護、健康管理や衛生管理指導などの看護を提供しています。なお、複数の居宅サービスや地域密着型サービスを組み合わせて提供するサービスは、「複合型サービス」と呼ばれています。

小規模多機能型居宅介護 1つの拠点で訪問・通所・短期入所の全サービスを提供するサービス。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 日中・夜間を通じて1日複数回の定期訪問と緊急時の随時訪問による介護と看護を一体で提供するサービス。
夜間対応型訪問介護 夜間の定期的な訪問や緊急時の随時訪問による介護を行うサービス。

②【特定施設や介護保険施設でのサービス(施設・特定施設型)
特別養護老人ホームや有料老人ホームに入居する要介護者・要支援者に、買い物や掃除などの生活支援、食事や排せつなどの介護、リハビリ・看護・入浴などを提供するサービスです。

地域密着型特定施設入居者生活介護 利用人数29人以下の、介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅などにおいて、食事や入浴、見守りなどの生活支援や機能訓練を行うサービス。
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 利用人数29人以下の特別養護老人ホームにおいて、食事や入浴、排泄の介助。機能訓練や療養上の生活支援を行うサービス。

③【認知症の方へのサービス(認知症対応型)
自宅から通ってきた認知症の方やグループホーム内に入居する認知症の方に、買い物や掃除などの生活支援や認知症ケアなどを提供するサービスです。

認知症対応型通所介護 施設に通ってきた認知症の方に、食事や排せつの介護、リハビリやレクリエーションなどを提供するサービス。
認知症対応型共同生活介護 グループホームにおいて、見守りや生活援助、リハビリやレクリエーションなどを提供するサービス。

以上の各介護サービスは、サービスの一例です。更に詳しくお知りになりたい場合には、飯塚市役所の、高齢介護課(0948-22-5500)へお問い合わせください。