生活保護費問題

生活保護費問題

飯塚市の巨額な生活保護費問題

福岡県と飯塚市の現状


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 私達が住む福岡県は、県民人口あたりの生活保護受給者の割合(保護率)が大阪府、北海道、沖縄県、高知県に続いて全国でも5番目に高く悪い状態です。そして飯塚市の保護率は、その福岡県内の市の中でも田川市や嘉麻市に続いてワースト3であり、市と郡を含む県全体で見てもワースト4の常連という悪い状態です。

福岡県が発行している「福岡県の生活保護(令和2年度版)」から

 上のグラフのように筑豊地区の保護率は、全国で上位にある福岡県の平均保護率(2.41%)の約2倍または2倍以上となっています。 また、飯塚市は福岡県内で最も低い保護率である筑後市の約9倍の数値となっています。尚、田川郡の保護率は10%を超えており異常な数値と言えます。

飯塚市の巨額な生活保護費

 上の表にあるように、飯塚市の年間予算は650億円前後であり、その内の生活保護費は約100億円です。その年間予算に占める割合は15%~17%であり、これは年間予算の約6分の1にあたります。また、飯塚市の負担額は毎年約28億円となっており、これが市の予算を圧迫しています。尚、生活保護予算の「市の負担額」には総務費(職員の給与や事務経費など)約5億円を含みます。
 尚、生活保護費については国が4分の3地方自治体(市町村)が4分の1を負担するように法律で規定されています。

市税の約6分の1が生活保護費(市の負担分)で消えている

 上の表で分かるように飯塚市が負担している約28億円の内の約5億円が生活保護関係の職員の給与や事務経費などです。よって実質的な生活保護に対する市の負担額は約23億円となります。
 一方、飯塚市の歳入の主なものは国から給付される「地方交付税(約160億円)」や「国庫支出金(約160億円)」、そして市民が税金として納める「市税」などです。
 この内の市税は毎年約140億円の税収となっており、その内訳は市民税(約60~64億円)・固定資産税(約60~65億円)・軽自動車税(約4億円)・市たばこ税(約10~12億円)などとなっています。
 先述の市の負担分の生活保護費約23億円は、「市民が負担する生活保護費」でもあります。よって市民が納めた市税から全額を支払われると仮定するならば、毎年市民から納税される市税約140億円の約6分の1が生活保護費に消えている事になります。

主な自治体の保護人員数と保護世帯数


 上記の表のように飯塚市の保護人員数(何らかの生活保護を受給している世帯に所属している総人数)は5,609人であり、保護率(保護人員数を人口で割った数値)は4.39%となっています。これは福岡県の平均保護率(2.41%)の2倍近い数値です。
 また、飯塚市の保護世帯は4,184世帯であり、15世帯に1世帯の割合で何らかの生活保護を受給している現状です。
生活保護は、世帯単位での受給となっています。そのため、2人以上の世帯であっても1世帯となります。

各自治体との比較


 令和元年度の「年間予算(当初予算)」を比較した場合、飯塚市の生活保護費は102億8千万円(予算に占める割合15.8%)となっており、福岡県内の市の中では田川市に次いで二番目に高い悪い数値となっています。また、飯塚市・田川市・嘉麻市・大牟田市については、毎年のようにワースト5に名を連ねる常連です。


 上の表の佐賀県唐津市は、飯塚市と同じように戦前は炭鉱の町として栄えており、歴史も人口も年間予算も非常に近い市と言えます。ところが、生活保護費の予算については、飯塚市と唐津市の差が全体で72億9千万円、市の負担額の差は21億4千万円もあります。尚、飯塚市の「市の負担額」には、生活保護に係わる職員の給与や事務経費などの総務費約5億1千万円が含まれています。

飯塚市の「市の負担額」に総務費(約5億1千万円)を含めている理由

 各市町村は予算の内訳を毎年度公開していますが、その内訳の内容や方法については各市町村ごとに違いがあり、飯塚市は生活保護費並びに総務費の各予算額とその二つを合わせた総予算額を公開しています。一方の唐津市は生活保護費のみの予算額を公開しています。
 この場合、総務費(約5億1千万円)を含まない飯塚市の生活保護費(約23億1千万円)の予算と唐津市の生活保護費(6億8千万円)の予算を比べれば良いのでは?と考えがちですが、上の行にある総務費を除いた両市の負担額を見比べた場合、その差は3倍を超えています。
 これは飯塚市の生活保護受給者が唐津市の生活保護受給者の3倍以上いるということであり、それを管理する生活保護担当課の仕事量もそれに比例して3倍以上であるということが推測できます。
 飯塚市の生活保護を担当する職員数は77人と「予算書」に公開されていますので、単純に計算すれば唐津市の職員数は三分の一の26人となり、総務費も唐津市は三分の一の約1億7千万円になります。
 上記のことから、飯塚市は唐津市よりも51人分も多くの総務費(約3億4千万円)を生活保護の業務に費やしていることが推測できます。
 ちなみに唐津市の総務費を生活保護の予算に加えた額は約8億5千万円となり、これと飯塚市の「市の負担額」の約28億2千万円との差を出せば19億7千万円となります。
 上記の計算は、あくまでも推測した数値と金額ですが、両市の総務費を含めた生活保護費の総予算額には、両市の総務費を除いた生活保護費の予算額の差である16億3千万円(注1)を超える20億円近い差があることをご理解いただくために、あえて飯塚市の生活保護費の予算額に総務費を含めています。
注1 飯塚市の総務費(約5億1千万円)を含まない生活保護費(約23億1千万円)と唐津市の総務費を含まない生活保護費(約6億8千万円)の金額差。

生活保護費20億円を負担する差と調査・検証の必要性

 上の欄に記述されているように飯塚市は生活保護費に唐津市よりも約20億円も多く毎年支出しています。これは飯塚市民が納めた税金が、唐津市よりも20億円近く生活保護費に使われているということです。もし、この生活保護費が唐津市並であれば、その差額を高齢者サービス障害福祉少子化対策子育て環境の改善などに充てることができます。
 市の予算には限りが有ります。もし、生活保護が必要ではない人が不正に受給していれば、その分だけ必要な方が受給しにくくなります。また、適切な金額よりも多く支給されている場合も同じです。
 なぜ飯塚市の生活保護費が、これほど巨額になったのかを知るためにも、そして市の財政を健全化して行政サービスをより良きものにするためにも飯塚市の巨額な生活保護費の調査及び検証は必要です。

生活保護制度について

 そもそも生活保護制度とは、どのような制度なのでしょうか?
 ここではその生活保護制度について、飯塚福祉事務所が発行している「生活保護のしおり」を参考に簡単に説明させていただきます。

生活保護制度とは

日本国憲法第25条の生存権保障の理念に基づき、生活に困窮しているすべての方に対して、その困窮の程度に応じて金銭等を給付して健康で文化的な最低限度の生活ができるよう保障するとともに、自立に向けての手助けをする制度です。

生活保護の支給基準と支給例

 国の定める基準によって計算された世帯の「最低生活費」に「医療費等」を加えた額と、その世帯の「収入」を比べ、世帯の収入ではすべてを賄(まかな)い切れない場合に、その不足分が保護費として支給されます。
生活保護は「世帯」単位で受ける事が原則です。血縁関係や婚姻関係がなくても一緒に生活している実態があれば、同一の世帯員として判断されます。


最低生活費とは、世帯全体の食費・衣類・光熱水費・家具什器などの生活費、家賃などの住宅費、義務教育費・高校就学に必要な経費などを合わせたもの。
収入とは、就労収入(賞与・臨時収入・高校生のアルバイトを含む)、仕送り、年金、手当、保険金、資産の売却収入など、その世帯のすべての収入です。

生活保護(扶助)の種類

 生活保護には国が定めた下記の8種類の扶助(ふじょ)があります。収入や状況に応じて必要な扶助のみが、定められた必要最低限の金額で支給されます。生活保護の受給が決まっても、すべてが支給されるわけではありません。


生活保護を受給中には、下記のものが減額・免除される場合があります。

その他の基礎知識

暴力団員は、原則として生活保護を受ける事はできません。
働く事ができる人は、受給中でも能力に応じて働かなければならない。
特別な事情がない限り、自動車の保有・運転は原則として認められない。他人名義の車の借用も認められません。
現在住んでいる住居は、原則的に保有が認められている。
資産を売却、生命保険金などを受領、年金や手当をさかのぼって受領、事故の示談金や補償金を受領した時などは福祉事務所への報告が必要。
住宅扶助等の目的が定められている保護費は、目的以外への使用を禁止。

飯塚市の生活保護の内訳

 私は令和2年3月に飯塚市の片峯市長に対して「飯塚市が行っている生活 保護に関する情報」を開示するように請求しました。ここでは、それによって開示された情報の一部をグラフにまとめて紹介させていただきます。 
 上の円グラフは、平成30年度に生活保護受給者に支出された各扶助費の割合です。ご覧のとおり、生活保護費全体の内、医療扶助費が約6割を占めています。この原因は受給者に高齢者が多いこと、病気や障害が原因で仕事ができない人が受給者になっている事が考えられます。また、生活扶助費も約3割と高い割合を占めています。


 上 の円グラフは、生活保護受給者が受給した総額を年代別にしたものです。40代から受給額が増え始め、50代で微増し、60代では倍増しています。 受給世帯数も40代が1,091世帯、50代が1,066世帯、60代が2,277世帯、70代が2,466世帯となっています。(1種類の扶助を受給の場合は1世帯、2種類の扶助を受給の場合は2世帯と計上されています)

最後に・・・・

 飯塚市や筑豊地区の巨額な生活保護費を見て、その原因を考えると、一つは昭和40年代に起きた炭鉱の閉山による失業者の大量増加にあったと思います。そしてもう一つは、その炭鉱の閉山によって大量に出た失業者に対する国や地方の救済策が、この筑豊地区で生活保護をもらいやすい雰囲気と環境をつくり、それが現在まで続いているからではないかと考えています。
 そして、このページを読まれた方に勘違いされると困るのですが。 私は、むやみに生活保護費を減らせと主張しているのではありません。私は生活保護が必要な方へ、必要な額が適切に支払われているのならば問題は無いと考えています。
 しかし、この飯塚市の巨額な生活保護費を見た時に「本当にそうなのかな?」 という疑問が湧いてきます。今後はこの生活保護費について「必要な方へ、適切な額の支給となっているか?」という全体的な調査と検証が必要と考えています。今回、このページをお読みいただいて、市民の皆様にも「飯塚市の巨額な生活保護費問題」に関心を持っていただければ幸いです。